投信会社への転職について<エージェント編>
前回からかなり日が経ちましたが、前回の記事のアクセスが異様に伸びました。
多分記事の内容からして、投信会社への転職を志望する人が多いから・・・なのでしょう。
ならば「投信会社にどうやって転職するか」を今回のテーマにします。
例によって今回も当チームメンバーの独自見解ですので、違うと思っても怒らないでくださいね。
当チームの投信会社のメンバーは、1社だけの人もいれば複数会社の経験もある人さまざまです。
その入り方は・・・一人を除いてみんなエージェント会社経由です。
その一人だけは知り合いづてで投信会社から投信会社に転職しました。
以前の記事でちょこっと触れたとおり、無数にある人材紹介会社の中の本当にごく一部の人材紹介会社のごく一部のエージェントたちが、投信会社への転職案件を持っているのです。
メンバー同士でZOOMでこのテーマで飲みながら話すと、「○○社の○○さんは・・・」「そうそう!」などと、見事にある特定の人材紹介会社の特定のエージェントの名前が出てきます。
当チームのメンバーは投信会社でも職種はバラバラ、にもかかわらずです。
敢えて名前は出しません。なぜなら人材紹介会社経由で(特に国内大手の)投信会社に転職した人は、一度はアプローチがあった人ばかりだからです。
となると、どこの人材紹介会社を選択するかがポイントになるのか?・・・などと考える必要はありません。
他の業種は分かりませんが、殊、投信会社への転職の場合は、1つの転職サイトに登録すればそれで済みます。
リクルートダイレクトスカウト
の一択です。
と、
日経転職板
の双方に同時登録すればいいのです。
彼らはこれらのサイトで一堂に会しているからです。
また、人材紹介会社自身ももちろん自社サイトはありますが、そこに登録してもほぼ意味が無いというのがメンバー間の実感です。
さらに転職サイトと言えば、圧倒的な広告投入量で世間に広く知られるビズリーチさんがありますが、求職者側が登録するのにお金がかかるビズリーチに登場する人材紹介会社のエージェントは、リクルートダイレクトスカウトや日程転職板にも登場します。
ですので、敢えてビズリーチさんに登録する必要はありません。
ビズリーチさんへの営業妨害じゃありません。投信会社への転職に限った当チームメンバーの実感です。怒らないでくださいね。
そして登録して放っておくと、「これぞ」という人材(「これぞ」の幅は広いですが少なくともハズレじゃない人材には)にはエージェントから勝手に連絡してきます。
マジで「ド定番のエージェント」の方々からスカウトメールという形で。
逆に言いますと、こちらから良い案件かな・・・と思って検索して出てくる案件に申し込んでも、まず内定またはオファーレターは獲得できないというのが当チームメンバーの共通の認識です。
投信会社への書類審査に提出されるどころかエージェントの段階でお祈りで終了というパターンがほとんどです。
いかにごく限られたエージェントに好まれる職務経歴を転職サイトに掲載するかが全てという実感です。
身も蓋もない言い方ですが、特殊なつながりが無い限り、
それらのサイトに自身最高の職務経歴を書いて待つのが一番確実な転職方法です。残念ながらキャリアカーバーに登録したにも関わらず、1ヶ月経っても投信会社案件のスカウトメールが来ない場合は、投信会社への転職は厳しいと言わざるを得ません。
そして、エージェントに気に入られればタイミングによりますが、芋づる式に掲載もされていない複数会社の案件が紹介されることもあります。残念ながら書類選考や面接で討ち死にしても、
この業界は、非常に人気がある一方で業界人口が非常に少ない=ポジションが各社とも非常に少ないので、討ち死は当たり前です。
特に一般に書類選考の通過率は3割弱と言われます。
以前、全て人材紹介会社経由で3社経験者という強者たちと飲みで会いましたが「神」かと思いました。話してみても業界や仕事そのものの造詣の深さにとどまらず話題の幅広さ含め非常に魅力的な方々でした。スキルもさることながら人を惹き付ける「何か」を持っているんでしょう。
志望する案件が出てくると直接連絡が来ることもしばしばです。
なお、実感として投信会社の募集で多い職種は、以下の順です。
- 営業(含・プレゼンター業務)・マーケティング(?)
- 資料等作成・マーケティング(?)
※なお、投信業界は営業=マーケティング(?)、資料作成=マーケティング(?)と捉え方をしている人間も未だに多く、メンバー間で話すと、ここ数年で国内大手からやっと他業種でいう本来のマーケの意味が理解され始めた感があります。
例えば数年前に流行った「デジタルマーケティング」という言葉は、「デジタルマーケ」=「SNSアカウントを作る」「動画を作る」「商品ごとのランディングページを作る」といった「モノを作ること」と捉えている会社が殆どで、マーケの「手段」として決して間違っていないものの、なぜそれらを作るのかを理解していない印象でした。
もっとも中堅以下の会社では、ネット証券からの資金流入の存在が無視できないほど大きくなっているにもかかわらず、これらのことすら取り組んでいない会社もあり、ウェブ活用では他業界に比べると「石器時代」のような様相でした。
今では大手はしっかりとした目的と意思を持ちこれらを作り、それ以上の多角的な手段によりマーケを展開している感があります。
外資は一見理解があるように見えますが、単に本国から一貫したブランディング統一の指示で資料やWEBサイトのデザイン・書式の統一等をしていることを、マーケティング(?)=ブランディング(?)=デザイン・書式の統一(?)となどと考えている人も見受けられます。
業務効率化の遅れも甚だしいですが、こちらの面も遅れている業界と言えます。 - ファンドマネージャー
- 商品開発
この4つが殆どで、それ以外の業務の募集は極端に少ない。よって、現在投信会社に勤務していて他社に転職したいと思っていても、この4つ以外の職種での転職はかなり厳しいのが現実です。面接官がよっぽど実務に疎い人ならともかく、実務経験が無いのに虚偽の経験を語ってもマニアックな業界だけにすぐ見抜かれます。
逆に言えば、これらの業務はいつでもどこかの会社で募集しているので、他社に転職したいならば、この4つの職種に社内異動して転職するのが遠回りのようで近道です。
1と3は特に国内大手への転職は数字の実績が無いと厳しいです。国内中堅以下の会社はそもそも残高を積み上げること自体が厳しく、特に1は上位の投信会社の実績ある営業か活きの良い大手証券・大手銀行の若手、もしくは転職を機会に運用関連業務をしていた人間が流れてくるケースも多いからです。
未経験かつ輝かしい実績が無くてもどうしても投信会社に入社したい・・・そのような方の狙い目はやはり国内中堅以下の投信会社です。特殊な業務が多いこの業界であってそもそもが陽の目が当たらずハード(組織・マシン双方)・ソフト(人材)面双方で大手に比べ圧倒的に劣後し、組織的というよりは個人プレーに頼る会社が未だに多いことから飛躍的に入社チャンスが多いと聞きます。
なお、業界内での転職については、以前の記事で言及した通り、カテゴリー的には、国内上位→国内中堅・外資、国内中堅以下・外資↔国内中堅以下・外資で転職はなされます。
上記の転職パターンに関して、時折メンバーにこういった相談があります。
「○○(国内大手)にいるが、人間関係に疲れたので中堅以下で転職したい」と。
このケース、私らは(大手から中堅以下に移籍したメンバーもいるだけもあって)全力で引き止めます。別の意味で(敢えて言及しません)余計に苦悩してしまうケースが殆どと聞くからです。しかし、出来る人ほど一度思い込んだら撤回はせず残念ながら当初の思い通りの方向に進んでしまいます。
また、国内大手から外資の場合はケースによります。「お金を稼ぎたい」「実力があるのに評価されないので悔しい」という人が多い感じです。しかしどこの業界の外資もそうですが、所詮ファーイーストの現地採用社員ですので地に足をつけて長く仕事をしたいという人には勧めません。しばらくして顔を合わせると、国内中堅以下に転職していたといったケースが多い印象です。
ついでに話は若干脱線しますが、どういうわけか志望する学生さんや若手の中には投信会社(本ブログは公募投信をテーマにしていますが)、広く言えばアセマネ会社を、何か研究でもする場や頭が良さを競う場と勘違いされている方が見受けられます。
さらには時折このアセマネ業界の閉鎖性ゆえか一部のベテラン社員にも妙な特権意識を持った人間もいます。
アセマネ会社は個人・法人のお客さまの大切なお金を預かり運用させていただき増してお返しする「ビジネスの場」です。実際のところ、上に書いた類の人たちは大抵「イケてない」方々です。この「ビジネスの場」という意味で考えると、投信会社では上記4つの職種の募集が多いということをお分かりいただけるのではないでしょうか。
ちなみにですが、別に案件を持っている特定エージェントの方々がスカウトメールを送ってくるからといって特に親身になって相談してくれる人は、これまたごく一部です。やたらと親身な方は「この人は絶対に入るだろう!」「募集要件にバッチリ!」と確信を持っているケースか、同じ証券会社・銀行出身など特別な想いを持っているケースぐらいです。
考えてみれば当たり前ですよね。営業マンの基本は、売れる商品を売れるお客に売ることなのですから。エージェントはカウンセラーじゃなくて営業マンであり、お客さんは投信会社であり、自分は商品、これは転職の基本です。
商品である人材の仕入れ代金はエージェントサイトへの掲載料やスカウトメールの送信料等のようですので、転職者はエージェントサイトに掲載してもお金がかからないというわけです。
また、時折「ド定番」ではない若手や経験が浅いエージェントからスカウトメールが来る場合もありますが、まず書類審査にも通らないか、たとえ面接に進んでも空振りするのが定説です。
この手のエージェントは若手は業界のことを知らず、もしくは年配のエージェントであっても昔の証券会社や投信会社の現場の一部の仕事しか知らない人が多い印象です。投信会社の募集案件を単にどこかで見つけてそれっぽい人にスカウトメールを送っていると思われます。話してみても募集している仕事が何をする仕事なのかも分からないといった噛み合わない人ばかりです。
なお、投信会社に強い(特に高額所得が期待される人材に強い)エージェントがいる人材紹介会社は、一般の人が聞いたことがない名前の人材紹介会社ばかりです。これも実際にスカウトメールが来ると大体分かってきます。
詰まるところ、メジャーな人材紹介会社は若者(言い換えると年収が高くない)向けの多数の案件を「数」で稼ぎ、マイナーな人材紹介会社はシニア(言い換えると年収が高い)向けの少数の案件を「額」で稼いでいるんでしょうね。
そして、一般に、その人材の入社時に提示された年収の30%程度が人材紹介会社のフィーとなります。紹介した人材がある一定以上の期間在籍すると、という条件付きです。よって、入社後も数ヶ月の間はエージェントから様子伺いの連絡が来ます。1千万円超の比較的高額な年収で入社した人の中には食事に誘われる(もちろん奢りです)ケースもあるようです。
しかし、やがてフィーが入ったと思われる時期以降は・・・パッタリと連絡が来なくなります(笑)
以前も書きましたが、この業界の「THE 村社会」ぶりは転職においても顕著なのです。
以上、今回は身も蓋も無い内容でしたが、次回の記事もご期待ください。