投資信託を暴く

販売会社・投資信託会社等に勤務する仲間がチームで書いてます。

「0次選考」とは何? 投信会社への転職について<エージェント編②>

お久しぶりです。

毎年このシーズンはどの業界も転職が活発になる時期です。

なぜなら、12月のボーナスを目の前にして転職を決意し内定。
そして、勤務先に辞意を表明し、年内は有給休暇を消化しだす時期だからです。

そこで、今回は好評だった前回に引き続き、

 

hatekinyu.hatenablog.com

 

今や転職の要となるエージェントさんに注目します。

 

今やエージェント抜きの転職はほぼムリ

今や、中途採用の転職はアセマネ業界に限らず、エージェント会社に委託している会社がほとんどです。

でも、転職活動を経験している方は、

いや、面接は全てアセマネ会社の社員だったよ

というはずです。

もちろん面接は、そうです。

しかし、振り返ると、このブログをご覧になっている皆さんの中には、転職サイトで「良いポジションだな」と思って申し込んでも翌日、早ければ当日にお断りされた経験はないでしょうか?

これが今回のタイトルの

0次選考

です。

 

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エージェントによる0次選考に何の意味があるのか?

 

まず、企業の人事セクションの手間を省くためです。

今や転職サイトに一度職務経歴を掲載すれば、ボタンをポチッと押すだけで応募できる時代です。

1人だけしか募集するポジションに何百人と申し込まれるわけです。

そんなの企業の人事はいちいち読むことはできませんよね。

 

その「ふるい」としての機能をエージェントは果たすわけです。
つまり、あなたの職務経歴を企業に提出する前にエージェント段階で箸にも棒にも引っかからない人を落とすわけです。

例えば1000万円のお給料を払う人材の場合、一般的にはその方の年収の30%程度を半年後ぐらいに企業はエージェントに支払います。

つまり実に一人を雇うのに300万円ものお金を払うわけですが、それでも企業は利用するのです。

なぜか?

想像してみてください。

朝から晩まで押し寄せる数百人の応募書類を採用すべき限られた期間までに取捨選択が出来ると思いますか?そのためにバイトを雇う?いやいや個人情報が流出する可能性もありますし、募集する業務が何の業務かも分からないはずです。

だから、高いお金を払って企業は人材エージェントに委託するのです。

でも困っちゃいますよね。

企業に到達もしないのに、落ちるなんて。

歪曲

0次選考の攻略法はこれぐらい

 

そのあなたがやりたいなと思うポジションについて、転職サイトで検索して良くみると・・・同じポジションを複数のエージェント経由で募集しているのです。

 

この結果どういうことが起きるのか?

同じポジションであっても、

Aというエージェントでは、エージェント段階で落選。

Bというエージェントでは、企業に応募してもらえる。

という事態が起きます。

 

なぜこんなことが起きるのか?

それは主に

  1. エージェントのそのポジションに対する業務経験の差異
    業務は理解できないけど何となく企業の人事から聞いた・求人票に書いてある条件に職務経歴書が合致している・していないと思う
    年齢・性別が企業の人事が言っていた条件と少しでも違うと機械的に落とす
  2. エージェントのその企業の人事に対する食い込み方の差異
  3. 的はずれな応募者の書類を提出することにより、企業(人事)側の信用を失う恐れがある

があるからです。

それを理解している転職賢者は同じポジションでも複数のエージェントにひとまず申し込むわけです。

さらに中高年層の転職賢者は、

行動をします。

なぜかといいますと、これらの大規模の人材紹介会社は若年層向けポジションを数で稼ぐ傾向があり、かつノルマも苛烈(転職希望者は彼らにとって単なる「商品」ですよ!)と聞きます。

よく転職系のブログで見られる「○○○さんは良いですよ」はアフィリエイト狙いかと。

さらにこれら大規模人材紹介会社は新卒で入社するケースが多い、つまりその対象となる会社・業種・職種の業務経験が無い人が多いのです。

よって40代以上の転職希望者は転職サイトでそれらの会社経由でポジションに申し込んでも、その0次選考で機械的に即斬りされる傾向があるのです。

さらに大規模エージェント会社は、

  • 求職者に接する人
  • 企業の採用担当に接する人

が分業化されている傾向があります。

それもあって、的はずれなポジションを紹介してきたり、話が通じないケースもよくあります。

転職賢者は、同じポジションを掲載している業界業務経験豊富な小規模なエージェントを探し、そこ経由から申し込みます。

よく大手エージェント会社さんのページを見ると、「親身にご相談にのります」とありますが、それは、

0次選考通過者、もしくは通過見込みがある人だけ

と思っていいです。箸にも棒にもかからない人はそんなことはまずしません。

また、最近は小規模なエージェント会社さんでも、ホームページ等に書いてある、

「親身にご相談に応じます」

といったことを実践せず、メールベースで定型文を送信しておしまいとする傾向にあります。

それほど、昨今は求職者が多い傾向にあります。

一方、エージェントの得意分野に金融とざっくり書いてある場合も、全く当てになりません。

金融といっても証券会社や商品先物の若手リテール営業を中途入社させるのが得意なケースも多いのです。間口が超狭いアセマネ会社とは全くケースが異なります。

アセマネ会社に在籍経験がある人材エージェントは、ごくごく少数です。

そりゃそうですね。ただでさえ業界人口が1万人程度しかいない業界なのですから。

あくまで当メンバー間での話ですが、アセマネ会社の求人を扱っている人材紹介会社で当メンバーが接触したエージェント15名について情報交換した結果、アセマネ会社に在籍経験がある、もしくはあったと推定されるエージェントはたったの5名でした。大部分は証券会社と銀行出身、新卒からエージェント会社でした。

ここから推測されることは、大手で無くとも、業界経験が無いエージェントさんが0次選考をしている、ということです。

もっとも証券会社や銀行出身が多いのは事実ですので、新卒入社も多い大手エージェントさんよりはマシと言えばマシです。

くれぐれも、やりたいポジションに大手エージェントさん経由ばかりで申し込んで、自分は「もうムリ」と思って「業界未経験可!」「未経験でも月収50万円も可能」とか書いているブラック企業に転職しないように注意してくださいね。

寒い

同じポジションでスカウトメールが複数来た場合はどうするか?

 

これは実績あるエージェント経由で申し込むのが一番です。

その実績とは、

  • その業種・職種の業務経験がある
  • その中でも高い職階に就いていた
  • 人づてに評判がいい

といったところです。

もし分からない場合はこのブログ経由でコメントをください。ご回答します。

ついでに書きますと、人材紹介会社や転職会社のページには、非公開求人多数!コンフィデンシャル案件!などと書いているケースがありますが、ごく少数の「本当のヘッドハンティング会社」(「○○アソシエイツ」さん等)以外はそんな求人は存在しません。

日本では知らぬ間に単なる人材エージェントをヘッドハンターと呼ぶようになりましたが、全く別物です。

単にそのエージェントさんがその会社の人事に食い込んでいただけで、他の会社さんのページを見ると普通に掲載されていたりします。

なお、この時期の面接は、転職希望者が多いので、面接から次のステップへの面接への結果連絡が遅くなる傾向があります。なぜなら企業側も「もう少し良い人材がいるのではないか」と思うからです。

当メンバーの人事担当経験者に聞くと、結局は待ってみても良い人材は現れないのがほとんどのようですが(笑)

ただし、企業側の書類選考は早いです。エージェントが0次選考をすでにしているので、ある程度厳選されているからです。さらに、良い人材に限って面接への案内は早いです。早い人はエージェントが午前に書類を送ると、夕方には面接の案内が来るケースも聞いたことがあります。

残念ながら1週間待っても返事がない場合は、まず落選と考えて間違いないでしょう。書類選考の通過率は、人事担当経験者に聞くと、1〜2割程度だそうです。一人の募集のポジションであれば、数人しか面接が出来ないので、書類審査が一番の激戦となります。

そして1次面接の通過率はその半数以下といいます。つまりこの時点でエージェント経由で100人書類審査を申し込んでも、4〜5人程度になるそうです。

日本のアセマネ会社の場合は二次選考通過で事実上の内定です。概ね1人のポジションにつき、2人程度に絞られています。

海外、とりわけ米国の場合はやたらと面接回数が多いです。その理由はまた別の機会で。

その後は、形だけの役員面接や人事面接が2回程度があり(最終は年収等条件の相談会の様相)、よっぽどのことが無い限り内定です。

上に書いた2人程度というのは、1人は本命で、1人はサブです。

大抵の内定者は複数会社を受けます。よって、いい人材に限って複数内定し、人材側から企業が蹴られた場合の「保険」となります。

Notebooks 方眼ノート

 

今回は以上です。

寒くなってきました。

今日明日の休日、ゆっくりお休みください。

投信会社への転職について<エージェント編>

前回からかなり日が経ちましたが、前回の記事のアクセスが異様に伸びました。

多分記事の内容からして、投信会社への転職を志望する人が多いから・・・なのでしょう。

 

hatekinyu.hatenablog.com

 

ならば「投信会社にどうやって転職するか」を今回のテーマにします。

例によって今回も当チームメンバーの独自見解ですので、違うと思っても怒らないでくださいね。

 

技術担当者

 

当チームの投信会社のメンバーは、1社だけの人もいれば複数会社の経験もある人さまざまです。

その入り方は・・・一人を除いてみんなエージェント会社経由です。

 

その一人だけは知り合いづてで投信会社から投信会社に転職しました。

 

以前の記事でちょこっと触れたとおり、無数にある人材紹介会社の中の本当にごく一部の人材紹介会社のごく一部のエージェントたちが、投信会社への転職案件を持っているのです。

 

メンバー同士でZOOMでこのテーマで飲みながら話すと、「○○社の○○さんは・・・」「そうそう!」などと、見事にある特定の人材紹介会社の特定のエージェントの名前が出てきます。

当チームのメンバーは投信会社でも職種はバラバラ、にもかかわらずです。

敢えて名前は出しません。なぜなら人材紹介会社経由で(特に国内大手の)投信会社に転職した人は、一度はアプローチがあった人ばかりだからです。

となると、どこの人材紹介会社を選択するかがポイントになるのか?・・・などと考える必要はありません。

他の業種は分かりませんが、殊、投信会社への転職の場合は、1つの転職サイトに登録すればそれで済みます。

 

リクルートダイレクトスカウト

 

careercarver.jp

 

の一択です。

と、

日経転職板

の双方に同時登録すればいいのです。

 

彼らはこれらのサイトで一堂に会しているからです。
また、人材紹介会社自身ももちろん自社サイトはありますが、そこに登録してもほぼ意味が無いというのがメンバー間の実感です。

さらに転職サイトと言えば、圧倒的な広告投入量で世間に広く知られるビズリーチさんがありますが、求職者側が登録するのにお金がかかるビズリーチに登場する人材紹介会社のエージェントは、リクルートダイレクトスカウトや日程転職板にも登場します。

ですので、敢えてビズリーチさんに登録する必要はありません。

ビズリーチさんへの営業妨害じゃありません。投信会社への転職に限った当チームメンバーの実感です。怒らないでくださいね。

そして登録して放っておくと、「これぞ」という人材(「これぞ」の幅は広いですが少なくともハズレじゃない人材には)にはエージェントから勝手に連絡してきます。

マジで「ド定番のエージェント」の方々からスカウトメールという形で。

 

逆に言いますと、こちらから良い案件かな・・・と思って検索して出てくる案件に申し込んでも、まず内定またはオファーレターは獲得できないというのが当チームメンバーの共通の認識です。

投信会社への書類審査に提出されるどころかエージェントの段階でお祈りで終了というパターンがほとんどです。

 

いかにごく限られたエージェントに好まれる職務経歴を転職サイトに掲載するかが全てという実感です。

身も蓋もない言い方ですが、特殊なつながりが無い限り、

それらのサイトに自身最高の職務経歴を書いて待つのが一番確実な転職方法です。残念ながらキャリアカーバーに登録したにも関わらず、1ヶ月経っても投信会社案件のスカウトメールが来ない場合は、投信会社への転職は厳しいと言わざるを得ません。

そして、エージェントに気に入られればタイミングによりますが、芋づる式に掲載もされていない複数会社の案件が紹介されることもあります。残念ながら書類選考や面接で討ち死にしても、

この業界は、非常に人気がある一方で業界人口が非常に少ない=ポジションが各社とも非常に少ないので、討ち死は当たり前です。

特に一般に書類選考の通過率は3割弱と言われます。

以前、全て人材紹介会社経由で3社経験者という強者たちと飲みで会いましたが「神」かと思いました。話してみても業界や仕事そのものの造詣の深さにとどまらず話題の幅広さ含め非常に魅力的な方々でした。スキルもさることながら人を惹き付ける「何か」を持っているんでしょう。

志望する案件が出てくると直接連絡が来ることもしばしばです。

なお、実感として投信会社の募集で多い職種は、以下の順です。

  1. 営業(含・プレゼンター業務)・マーケティング(?)
  2. 資料等作成・マーケティング(?) 
    ※なお、投信業界は営業=マーケティング(?)、資料作成=マーケティング(?)と捉え方をしている人間も未だに多く、メンバー間で話すと、ここ数年で国内大手からやっと他業種でいう本来のマーケの意味が理解され始めた感があります。
    例えば数年前に流行った「デジタルマーケティング」という言葉は、「デジタルマーケ」=「SNSアカウントを作る」「動画を作る」「商品ごとのランディングページを作る」といった「モノを作ること」と捉えている会社が殆どで、マーケの「手段」として決して間違っていないものの、なぜそれらを作るのかを理解していない印象でした。
    もっとも中堅以下の会社では、ネット証券からの資金流入の存在が無視できないほど大きくなっているにもかかわらず、これらのことすら取り組んでいない会社もあり、ウェブ活用では他業界に比べると「石器時代のような様相でした。
    今では大手はしっかりとした目的と意思を持ちこれらを作り、それ以上の多角的な手段によりマーケを展開している感があります。
    外資は一見理解があるように見えますが、単に本国から一貫したブランディング統一の指示で資料やWEBサイトのデザイン・書式の統一等をしていることを、マーケティング(?)=ブランディング(?)=デザイン・書式の統一(?)となどと考えている人も見受けられます。
    業務効率化の遅れも甚だしいですが、こちらの面も遅れている業界と言えます。
  3. ファンドマネージャー
  4. 商品開発

この4つが殆どで、それ以外の業務の募集は極端に少ない。よって、現在投信会社に勤務していて他社に転職したいと思っていても、この4つ以外の職種での転職はかなり厳しいのが現実です。面接官がよっぽど実務に疎い人ならともかく、実務経験が無いのに虚偽の経験を語ってもマニアックな業界だけにすぐ見抜かれます。

逆に言えば、これらの業務はいつでもどこかの会社で募集しているので、他社に転職したいならば、この4つの職種に社内異動して転職するのが遠回りのようで近道です。

1と3は特に国内大手への転職は数字の実績が無いと厳しいです。国内中堅以下の会社はそもそも残高を積み上げること自体が厳しく、特に1は上位の投信会社の実績ある営業か活きの良い大手証券・大手銀行の若手、もしくは転職を機会に運用関連業務をしていた人間が流れてくるケースも多いからです。

未経験かつ輝かしい実績が無くてもどうしても投信会社に入社したい・・・そのような方の狙い目はやはり国内中堅以下の投信会社です。特殊な業務が多いこの業界であってそもそもが陽の目が当たらずハード(組織・マシン双方)・ソフト(人材)面双方で大手に比べ圧倒的に劣後し、組織的というよりは個人プレーに頼る会社が未だに多いことから飛躍的に入社チャンスが多いと聞きます。

なお、業界内での転職については、以前の記事で言及した通り、カテゴリー的には、国内上位→国内中堅・外資、国内中堅以下・外資↔国内中堅以下・外資で転職はなされます。

上記の転職パターンに関して、時折メンバーにこういった相談があります。

「○○(国内大手)にいるが、人間関係に疲れたので中堅以下で転職したい」と。

このケース、私らは(大手から中堅以下に移籍したメンバーもいるだけもあって)全力で引き止めます。別の意味で(敢えて言及しません)余計に苦悩してしまうケースが殆どと聞くからです。しかし、出来る人ほど一度思い込んだら撤回はせず残念ながら当初の思い通りの方向に進んでしまいます。

また、国内大手から外資の場合はケースによります。「お金を稼ぎたい」「実力があるのに評価されないので悔しい」という人が多い感じです。しかしどこの業界の外資もそうですが、所詮ファーイーストの現地採用社員ですので地に足をつけて長く仕事をしたいという人には勧めません。しばらくして顔を合わせると、国内中堅以下に転職していたといったケースが多い印象です。

ついでに話は若干脱線しますが、どういうわけか志望する学生さんや若手の中には投信会社(本ブログは公募投信をテーマにしていますが)、広く言えばアセマネ会社を、何か研究でもする場や頭が良さを競う場と勘違いされている方が見受けられます。
さらには時折このアセマネ業界の閉鎖性ゆえか一部のベテラン社員にも妙な特権意識を持った人間もいます。
アセマネ会社は個人・法人のお客さまの大切なお金を預かり運用させていただき増してお返しする「ビジネスの場」です。実際のところ、上に書いた類の人たちは大抵「イケてない」方々です。この「ビジネスの場」という意味で考えると、投信会社では上記4つの職種の募集が多いということをお分かりいただけるのではないでしょうか。

ちなみにですが、別に案件を持っている特定エージェントの方々がスカウトメールを送ってくるからといって特に親身になって相談してくれる人は、これまたごく一部です。やたらと親身な方は「この人は絶対に入るだろう!」「募集要件にバッチリ!」と確信を持っているケースか、同じ証券会社・銀行出身など特別な想いを持っているケースぐらいです。

考えてみれば当たり前ですよね。営業マンの基本は、売れる商品を売れるお客に売ることなのですから。エージェントはカウンセラーじゃなくて営業マンであり、お客さんは投信会社であり、自分は商品、これは転職の基本です。

商品である人材の仕入れ代金はエージェントサイトへの掲載料やスカウトメールの送信料等のようですので、転職者はエージェントサイトに掲載してもお金がかからないというわけです。

また、時折「ド定番」ではない若手や経験が浅いエージェントからスカウトメールが来る場合もありますが、まず書類審査にも通らないか、たとえ面接に進んでも空振りするのが定説です。

この手のエージェントは若手は業界のことを知らず、もしくは年配のエージェントであっても昔の証券会社や投信会社の現場の一部の仕事しか知らない人が多い印象です。投信会社の募集案件を単にどこかで見つけてそれっぽい人にスカウトメールを送っていると思われます。話してみても募集している仕事が何をする仕事なのかも分からないといった噛み合わない人ばかりです。

なお、投信会社に強い(特に高額所得が期待される人材に強い)エージェントがいる人材紹介会社は、一般の人が聞いたことがない名前の人材紹介会社ばかりです。これも実際にスカウトメールが来ると大体分かってきます。

詰まるところ、メジャーな人材紹介会社は若者(言い換えると年収が高くない)向けの多数の案件を「数」で稼ぎ、マイナーな人材紹介会社はシニア(言い換えると年収が高い)向けの少数の案件を「額」で稼いでいるんでしょうね。

そして、一般に、その人材の入社時に提示された年収の30%程度が人材紹介会社のフィーとなります。紹介した人材がある一定以上の期間在籍すると、という条件付きです。よって、入社後も数ヶ月の間はエージェントから様子伺いの連絡が来ます。1千万円超の比較的高額な年収で入社した人の中には食事に誘われる(もちろん奢りです)ケースもあるようです。

しかし、やがてフィーが入ったと思われる時期以降は・・・パッタリと連絡が来なくなります(笑)

以前も書きましたが、この業界の「THE 村社会」ぶりは転職においても顕著なのです。

 

以上、今回は身も蓋も無い内容でしたが、次回の記事もご期待ください。

投信会社の人材と村社会

前回の記事では、

 

hatekinyu.hatenablog.com

 

営業担当者の業務について書いたつもりが、脱線して人材に関する言及が多くなったせいか、アクセス数も飛躍的に伸びたようでしたので、独立した記事にします。

なお、今回の主張も全て当局や投信各社の公式見解ではなく、業界を生きている当チームメンバーの独自見解ですので、目くじら立てて怒ったりしないでくださいね。

昔の投信会社とは

そもそも「名が知れている」日本の投信会社は、証券会社系、銀行系(ここでは旧都銀、旧長信銀、信託とします)、さらには存在感が希薄な保険会社系が多くを占めます。

投信会社は元々は証券会社の一部門でしたが、法律により分離独立。90年代に入って外資系や国内の銀行、保険会社でも関連会社として設立が認められて今に至るという歴史的経緯があります。

そして投信各社の人材は、主に証券会社出身者やその母体となる会社からの出向者がメインで、新卒採用は2000年代以前は、ごく一部の大手以外はほぼ無かったと思います。

 

そりゃそうですよね。

1998年に銀行窓販が始まる前の日本の投資信託というのは、口が悪い人に言わせれば「ゴミ箱」とか呼ばれていた時代もあったのですから。

 

私たちメンバーの古参が新卒で就職活動をしていた時代は、新卒採用のDMに投信会社からのDMが紛れ込んでいても、

野村證券投資信託委託?へ、投信?なにそれ?そんな訳のわからない会社に就職してどうすんの?普通にノムショーに入ればいいじゃん」

なんて時代でした。

東大・京大・一橋・早稲田・慶應から新卒入社するなんて言ったら「どうして?」と言われるような時代です。

そして、その母体会社から出向してくる人たちも・・・言わずもがなな方が多かった時代です。

 

ちなみにこの野村證券投資信託委託というのは、未だ日本の投信会社の方向性を決める会社といっても過言ではない今の野村アセットマネジメントです。

この野村アセットは就職偏差値というものがあれば、今や日銀や銀証の専門職コース等と並んで偏差値70台の新卒学歴エリートさんが行く会社になっていますよね。

 

会社

 

このように投信業界というのは、証券会社のノルマのために一部のお金持ちに商品をせっせとハメ込んでいた、本当にマニアックな業界だったわけです。

投信会社の変化の潮目

その状態から変化した潮目の一つが、1998年に「銀行窓販」が始まったことです。
折しもバブルが崩壊して経済は長期低迷の真っ只中、金融動乱の時代です。様々な銀行や証券会社が破綻したものでした。
銀行にとって不良債権が大きな問題の時代でした。銀行にとって収益の主な源泉はなんと言っても融資です。でも融資が伸びない、というかヘタな先には貸し出すと不良債権化してしまう。
銀行の預金はだぶついていきます。銀行の貸借対照表上では、預金は負債なのです。融資を伸ばさなければ銀行にとっては預金は意味が無いどころか預金者に利息を払い続けなければいけないのです。公的資金を注入されてもその資金をどうやって返済するのか?

そこで。

銀行にとって預金を収益の源泉に変化させるのです。

預金者が預金を解約し投資信託を購入すれば、預金という負債は減り役務収益(要は投信の販売手数料や信託報酬の中の販売会社の取り分です)という収益に変化する。すると、預金という負債は減るし、銀行の収益にもなるというわけです。

そしてそれに追い打ちをかけるのが、「貯蓄から投資」です。

大きな理由としては銀行窓販と同じようなことです。銀行等に預金・貯金が積み重なっても負債が蓄積されて、銀行経営が圧迫されるだけなのですから。

国民に対しては、老後の資金は自己責任で増やせというメッセージに等しいものです。

そりゃそうです。

高度経済成長期に国民皆年金を達成したものの、超高齢社会に向かう日本にとって、公的年金だけで老後が生活できるというのはだれが考えても早晩行き詰まるのは目に見えていたことです・・・それに、預金金利が8%とかだったこと自体が今考えると異常だっただけなんですけどね。


当局や業界の思惑はさておき、冷静かつ客観的に捉えると、しごく当たり前なことだったわけです。

そもそも日本における貯蓄率の高さは歴史を遡れば戦時中の戦費調達がきっかけという説もあります。戦時中は敵対する諸外国から借款(借金)なんてできませんからね。

どこの国もそうですが、国というのは時流によって定期的に国民に対してこのようなスローガンを流すことがあるようです。

この点、いくら大企業だからといって未だに確定給付の企業年金という存在があるのも、よくよく考えればおかしいものなんですけど。

2001年の秋口には、米国の401kを模した確定拠出年金制度もスタートしました。もはや今後高度成長は望むべくもない大企業の側も確定給付の企業年金を出し続けることはもうお手上げといった現れです。

ちなみにすでにこの頃にはインデックスファンドは各社に存在していました。ですが、業界も注目させるつもりもありませんでしたから、当然まだ投資家も注目するはずもありませんでした。

だって、それをたくさん買われると証券会社も銀行等も投信会社も儲からないのですから。

販売手数料3%程度、信託報酬年1%台後半以降なんて投信はザラにあったわけです。

ああ、今では信託報酬は販売管理費用(信託報酬)なんていうのでしたね。言葉遊びみたいなものですけど。

なお、このブログでは、投資家の皆さまが負担するコストは「手数料等」に統一します。販売手数料と信託報酬、信託報酬から3者に配分するやら、監査報酬、売買委託手数料、信託財産留保額やらなんて言葉は業界の勝手な都合なのですから。

Corporate Office

そんな背景から、投資信託が躍進し、投資信託の業界は急速に潤い始めたわけです。

さすがに現在はそのようなことはないですが、投資信託の仕組みを知らない投資家の皆さまに対して説明不足だと一見預金金利と見紛いがちな毎月決算(分配)という商品が活況を呈し始めたのもこの頃でした。

(大手限定ですが)今や投信会社は優秀な人材な巣窟

潤う業界の大手にはどこの業界もそうですが、優秀な人材が集まります。

上述の野村アセットに加え、大和アセット、日興アセット、三菱UFJ国際、アセマネONE、三井住友DSといった今や不動の大手6社も、新卒学歴エリートさんが就職する先になっています。

これを見ると、見事に2証券・3メガ・1信託の系列、つまり三井・三菱・住友・安田の財閥系、野村・大和の大手証券2社系が国内大手の投信会社になっています。

 

自ずと、投信協会加盟して公募投信を設定する90社程度・業界人口1万人程度の投信業界は、就活生や転職希望者に非常に人気がある業界となり、特に転職者にとっては、業界に入り込むのはかなりの高難度となりました。

そして、投信会社は国内中堅以下であっても他業界とはかけ離れた特殊な業務が多い。

先日の日経新聞には珍しくそこに切り込む記事がありました。先の回では当ブログでもそこに切り込みます。

その高給さも相まって業界外への転職は非常に稀です。

さらに、取引先は証券会社や銀行等で利害関係者が極めて少ない業界です。

ここがこの業界の「村社会」たるゆえんなのです。

村社会ゆえの閉鎖性

この村社会には村社会ゆえの生きづらさもまたあります。

例えばこういう例です。

一度悪い評判がついた人材は、村社会であるがゆえに、業界内で悪いレッテルが貼られ転職が困難になります。

「ああ、○○アセットの、あのどうしようも無い人ね」という人間は私たちのチームでも何人も共有されています。

もっとも、どの業界でもそうですが、「国内大手」と「国内中堅以下・外資」のカテゴリー間では人材の交流があまり無く、数少ない「国内大手」と「国内中堅以下・外資」のカテゴリー間の友人同士で挙がる話となります。

例えば当チームのメンバー間でも、「国内中堅以下・外資」カテゴリーのメンバーから(悪い意味で)風変わりな有名人が世話話の中で登場することがあります。それは「国内大手」カテゴリーのメンバーは誰も知らないという「国内中堅以下・外資」カテゴリー限定の局地的な有名人です。

「国内中堅以下・外資」カテゴリーには「国内大手」カテゴリーには存在し得ないような性質を持つ方が多く存在する気がします。そのような人であっても組織に存在できうることは、ちょっと羨ましいとも思います。

そのような方は王道の人材紹介会社経由での入社ではなく、大抵人づてで入社するケースが多いと聞きます。

よって販売会社の社員を通じてこういった人物の噂が広まるようです。

また、この業界に入る前に同じ証券会社や銀行等だった元同僚も多いので、その元同僚間でそのような人物の情報が交換されている感もあります。

さらにこの業界は、特に外国株を中心に、運用を外資系運用会社(「サブアドバイザー」略して「サブアド」と一般に呼ばれます)に外部委託しているケースが非常に多く彼ら経由でも情報交換が密にされているようです。

もっと言えば、ただでさえ人材の流動性が高いこの業界内の転職者を仲介する人材紹介会社もこの業界の人材を扱う会社は非常に限られています。

 

Business Office I

 

各社の客観的な人材感が参考になるサイトとまとめ

さて、より客観的に会社ごとの人材や文化はどうなんだろうと思う方もいるかもしれません。

その場合はこちらの有名なサイトで投信各社を検索すると良いでしょう。

https://www.vorkers.com/

このサイトは主に退職者が在籍していた企業を評価するサイトで一部のファンドマネージャーは投資先企業の定性評価にも使用していると言われています。

このサイトに書かれていることは概ね事実です。

時折明らかに関係者と思われる人間が悪い評判を打ち消したり、その逆の記述も見られる場合もありますが、全体的な論調から唐突で不自然な内容になっていますので、すぐに虚偽とわかります笑

 

今回の記事をまとめますと、投信会社という業界は、同業の資産運用会社間・同業の販売会社間・同業のサブアド間・同業の人材紹介会社間の4者間、さらにこれら4社間の垣根を超えて個々の人材の情報が筒抜け完全に村社会の様相を呈しています。

さらにここで村社会でよくありがちな例を紹介します。
ある大手が開発したファンドがブームになるとします。ブームと言っても、目新しいファンドは大抵大手6社のどこかが開発するわけです・・・もっと言えばその投資戦略はサブアドが販売力がある大手に提案する場合も多いものですけど。

すると追随するファンドが他の大手のみならず、ほとんど販売が期待できないような中堅以下からもポコポコ出てきます。
そして、それらのファンドの販売用資料を銀行や証券会社(今では一部のネット証券でもPDFで入手可能)で入手して比較すると・・・ファンドの名前とデザインが違うだけで、言いたいキャッチフレーズやグラフがほぼ同じなのです・・・まあ、当然アロケーションや上位の投資先が丸っきり同じというわけではないですけど。

それくらい、大手と中堅以下では実力差がある証左であると同時に、村社会という証左でもあります。

この例からも分かる通り、この業界は公募投信の数は6,000本程度もあるにもかかわらず、商品の差別化要素が非常に少ない。

かつて「通貨選択型」というファンドが一大ブームになりましたが、あのようなインパクトがあるファンドはやはり業界最大手が開発しました。

つまり、この業界は存在意義(最近ではこれを「パーパス」という言葉で格好よく表現するのが流行りですが、これも「CSR」同様にいつか消えていく言葉ですね。「ESG」もですね笑)が無い会社が非常に多いと言える業界です。

何より投資家の皆さまに負担して頂いているコスト(信託報酬、つまり投信会社にとっての収入)の下げ圧力は、当然ながら年々厳しくなってきています。

存在意義が無く、かつ、収入が減少し、世論からの要求や当局からの規制が強まるにつれその事務負担や収入減に耐えきれない会社は今後淘汰されゆく、つまり、この業界は今後規模が一層重要になります。

こんな難しいこと言わなくても、やらなきゃいけない業務が多くなって、実入りが少なくなるのに、今までと同じ人数で今まで通り攻めるだけの会社にお金を預けるのは危なっかしいのは自明ですよね笑

そして、生き残った大きな会社同士で商品性に依存しないサービスやマーケティングの重要性が増すのではと考えています。

と、ここまで書くと、これは日本のどの業界でも当たり前なことに気づきました笑。ようやくこの業界でも当たり前なことがこれから起きるのです。

よって、一度これら4者に悪い噂が広まるとその社員個人どころかその会社自体も挽回が厳しい、だからこの業界での投信会社の不沈は商品のパフォーマンスはもちろんですが、優秀さと誠実さを兼ね備えた社員がいかに多いかがカギとメンバー全員は感じます。

優秀さと誠実さは投資家の皆さまの大切なお金を運用する仕事ですから当然ですけど。

以上、脚注にも書きましたが、さまざまな意味で、この業界は今後より淘汰が進んでいくのではと、考えています。

今回はあくまで当チームの私見で投信会社の人材特性について書きました。

今の時期はメンバー全員がテレワークであるものの、忙しいので執筆が飛び飛びとなりますが、次回も期待してください。

次回は、業界のニュースをめぐる時事ネタを別の人間が担当する予定です。

ご期待ください。

知られざる投信会社のお仕事!投信会社の営業って何やってるの??②

Mexican money / Dinero mexicano / 墨西哥钱

前回は投信会社の営業について、当チームの私見を好き勝手に書きました。

 

hatekinyu.hatenablog.com

 

今回はその続きです。


ところで、皆さん、

  • なぜ販売会社は販売手数料に高いパーセンテージを取るのか(販売手数料はまるまる販売会社に渡る)
  • なぜ信託報酬を高くしなければいけないか(信託報酬は主に販売会社と投信会社に渡る)

という疑問はありませんでしょうか。これ、ここ数年、当局やマスコミ等で言われ続けていたことですよね。
今回はあくまで当チームの私見ですが、それに関する考え方も交えて書きます。

前回は、投信会社の営業は主に、

その仕事は大まかに言うと、新規商品のニーズ集めとその社内へのフィードバックや調整、新規と既存商品の提案、商品が証券会社や銀行等に採用されたら社内を調整した上で販売促進活動を展開、継続したアフターフォローなどです。

 という仕事をすると書きました。その業務の多くの部分を占めるのが、

①既存商品の提案

②商品採用後の販促活動

③アフターフォロー

です。

 

まず①です。今のご時世では新商品は以前と比べてそれほど出てきません。以前は、新商品を、出しては→売れない→放置を繰り返すことで死に体の投信が量産されたものでした。それにより販売会社もそうですが特に投信会社のコストが嵩んでいました。

ここでいうコストは、いくら全く売れてないファンドだろうと、一旦ローンチしたファンドである以上、投資先金融商品の売買や保管等にかかる費用、目論見書や運用報告書、月次レポート類の作成等、さらにそれら業務を行う社員にかかるコストという意味です。ファンドを作った以上、償還しない限り止めちゃだめなのです。

作る側も売る側も非常に狭い業界(数えて無いですが投信協会・投資顧問業協会加盟会社の社員は合計でせいぜい一万人前後かと)であるにもかかわらず、このようなことが起きていたのはひとえに事前のマーケティング不足としか言いようがありません。実際には別の理由もありますが、ここでは伏せます。

ちなみに、非常に狭い業界という意味では、悪い噂は即時に業界内に広がります。

ですので、営業は主に既存の商品を販売会社(証券会社・銀行等)に採用してもらうために提案をしていくことがメインとなります。

 

次に②と③です。
これは商品が販売会社に採用されると、その販売会社の販売員に勉強会・研修会(会社によって呼び名が異なりますが同じことです)を行うことがメインです。
以前は投信会社の社員が、フェイス・トゥ・フェイスかつ、地方にある販売会社の僻地の支店であろうと行っていましたが、コロナ禍やコスト、さらには効率性の観点から、今では動画提供やウェブ会議で行うことがむしろメインとなっています。
この勉強会・研修会を行う人は、中堅以下の投信会社では営業マンが兼ねています。大手や上位中堅では、頻度の多さから専門の部署や人員が配置されることもあり、一般的ではありませんが、プレゼンターやホールセラー等の名称で呼ばれる場合もあります。

投資家の皆さんにとっては、こんな勉強会・研修会は必要なの?という疑問もあるかも知れません。
これは必要なのです。
なぜなら販売員の金融商品や経済に対する知識はそれほどでもないのです。販売会社の社員が怠けているとか優秀じゃない、もしくは双方が馴れ合いでやっているわけではありません。逆に彼らは本当に熱心で優秀な方々ばかりです。
特に銀行等の方々は投信の他にも、日々、預金や融資、その他多くの保険等の金融商品を扱っていて、手が回らないのが実情です。
ただでさえ、手数が回らない中で販売ノルマや事務作業に追われ、かつ金融商品の勉強を日々続けていくということを日々行っているのが販売会社の社員です。

この研修会・勉強会は、一義的には販売員への知識の植え付けですが、投信会社にとっては販売員に対するファンド販売のプッシュという販促活動の一環として位置づけています。


なお、③のアフターフォローは、商品採用直後の販売促進活動が終わった後の販促活動です。売ってくれる販売会社に対する直接またはウェブでの勉強会・研修会、動画・各種レポート提供等がメインであり、やることは②とほとんど変わりません。
しかし、販売会社の社員も暇じゃありません。中堅以下も含めれば数十もある投信会社の営業マンはファンド販売を活性化すべく、限られた機会を狙ってアフターフォローの機会を売り込んでいきます。

記念に撮っておいた240万円

ここまで書いた段階で、気づいたのではないでしょうか。
この業界そのものが高コストにならざるを得ない体質ということに。さらに投信会社のファンドマネージャーや営業、さらに他業種に比べて遥かに高給なその他社員のお給料というコストも加味されます。

 

冒頭の、

  • なぜ販売会社は販売手数料に高いパーセンテージを取るのか(販売手数料はまるまる販売会社に渡る)
  • なぜ信託報酬を高くしなければいけないか(信託報酬は主に販売会社と投信会社に渡る)

の理由はこういうことです。


ネット証券が扱うパッシブ投信にここ数年より注目が集まっていますが、まだまだ投資が広がらない日本では、投資経験が浅い投資家の方々にとってはここ数年注目度が高い米国株でさえ身近ではないもので、直接相談できる販売会社の社員は心強いことは理解できます。

それどころか「投資信託って何?」という方も依然として多いと感じます。

それが販売手数料に跳ね返ります。
投信はお米やティッシュのような生活日用品ではないので、「安いよ安いよ!」では買いません。販売会社の販売員は一人ひとりのお客さまに対して、投資リスク等を中心に商品そのものに加え投資先の投資環境等も含め齟齬のない説明を何日にも渡りたくさんの時間をかけ、納得していただいた時点で初めて、お客さまは投信を買うことになります。かといって、説明にたくさんの時間をかけるのは慈善事業ではありません。

高いコストをカバーするだけのパフォーマンスの投信じゃなければ、どんなに販売員に背中を押されようと、投資家の皆さんは買っちゃいけない・・・というのは当然のことであり理解できますが、業界にいる当チームメンバーとしては痛し痒しという思いです。

知られざる投信会社のお仕事!投信会社の営業って何やってるの??①

日本円 新紙幣 new Japanese yen bank bills

前回はファンドマネージャーのお給料について紹介しましたが、

 

hatekinyu.hatenablog.com

 

今回は営業です。

この人たち、業界の外の人には何やっているのかわからないかと思います。

投信会社の営業は、いわゆる間接営業、メーカーの営業みみたいなもんです。

つまり、投信会社はメーカーであって証券会社や銀行等はスーパーみたいなもん、投資家に対しては一部の投信会社を除いて投資家には直接販売しないわけです。

※実際に投資家の皆さんに投信を売るのは、証券会社や銀行等です。

※銀行等にはメガ、地銀の他、信金、信組、農協等を含みます。

 

その仕事は大まかに言うと、新規商品のニーズ集めとその社内へのフィードバックや調整、新規と既存商品の提案、商品が証券会社や銀行等に採用されたら社内を調整した上で販売促進活動を展開、継続したアフターフォローなどです。

 

ここに投資信託協会のリンクを載せます。

www.toushin.or.jp

※投信会社で働きたい就活生・転職希望者はここにあるエクセルはざっと眺めた方がいいですよ。

 

このページにあるB-3のエクセルを開いて、一番右のK列「純資産総額」を最大から最小(降順)で並べ替えします。

上位の投信会社と下位の投信が並ぶわけですが、この上位と下位の会社を分けるのはひとえに営業の力です。

ここでいう営業の力とは、営業個々人の力もそうですが、その会社の営業政策全般を指します。

 

これ以下は、あくまで本ブログの筆者チームによる勝手な見解ですので、直截的な書き方になりますが、怒らないでください。

 

1位〜6位の会社はETFを設定している会社もあるせいか、圧倒的に残高が大きい上に(5位と6位は残高に結構な差がありますが)営業担当者の能力も高いと感じます。

ちなみに7位の会社は投資顧問や私募投信の業務を含めると日本ではトップクラスの大手ですが、このブログで触れる主に個人投資家を対象とした公募投信の世界では、合併前2社は中堅でしたので中堅としています。

また、4位や6位の会社は合併前2社も大手と言えましたので大手としています。

基本的にこの投資信託を含む資産運用会社は、ここ数年で①合併や②親会社の業務を移転されて水ぶくれした会社が多いことが特徴です。

例えば4位や6位の会社は①で、5位や7位の会社に至っては①と②の合わせ技で、特に5位は3社もいっぺんに合併しちゃって、さらに親会社格の会社から業務を移転しています。

 
やはりどの業界もそうですが、この業界でも大手の営業マンの能力は総じて高いという印象です。

 

7位以下の会社は大小様々ですが、営業担当者の能力はそれほど高くなくどんぐりの背比べ状態という感があります。

どの業界の営業もそうですが、業界下位になればなるほどビッグビジネスの経験が無いせいか、営業担当者や社内その他部署も卑屈になりがちで、「山椒は小粒でもぴりりと辛い」は無いという印象です。さらには「さまざまな意味」で上位社の同職種で認識されている業界内の最新情報・動向に疎いと感じます。

誹謗ではなく、現実として感じます。怒らないでくださいね。ただし、一部の先進的な数社は別です。業界内の方ならお分かりですが。

(EUR3a) 2002 Vaticano: Citta'del Vaticano, Five Euro (A/R)...

そして、滅多にありませんが(給料も違いますので)、本当に時々こういうことを相談されることがあります。

証券会社出身者が「大手と中堅の投信会社に転職内定した。大手はちょっと活躍する自信が無いから中堅でトップの実績を上げて大手に転職しようと思うがどう思う?」と。

絶対大手です。

仕事は中堅以下よりむしろハードですが、お給料は総じて高めで、残高が多く組織もしっかりしていてトラブルが無ければ定年まで安心して勤められます。

この「組織もしっかりしていて」や後述の「人材レベル」については、投資家の皆さまもファンド選びの1つのポイントになるかと思います。その理由は別の回で別の人間が書きます。

そして考えてみてください。
聞いたことのない専門商社のトップ営業マンが三井物産伊藤忠に転職したなんて話聞いたことないですよね。中堅から大手への転職はまず無理で、中堅での実績は大手ではあまり通用しないのはこの業界でも同じです。

ただ、事務員レベルでは、中堅から大手に転職する例は時々聞きます。純粋な営業やマーケティング関連の部署は全く聞きません。

普段接する販売会社も違いますし、大手では20代で入社数年の営業が、新規ファンド設定の中心メンバーとして辣腕を振るって1ファンドで百億の設定を1年足らずで達成したりします。

さらに大手にいた経験があれば、そこで活躍が厳しくなったら中堅に行くことができるのは、この業界でも同じです。

また、同じ人に「中堅以下の方が会社の歯車にならず投信業務全般を学べるのでは?」という質問を受けましたが、安心してください。

中堅以下だろうと会社に勤めているのですから会社の歯車ですし、投信業務全般は大手から中堅以下に転職したときにみんな親切に教えてくれます。

この人には、最初から輝く大手で実績を挙げまくってくださいとアドバイスしました。

 

#Money will not make you #happier...#They #said.  But, I #thought that #money would, at least, #make you #smile...  #お金 はあなたが #幸せ にすることはありません。 しかし、#お金 は #あなた が #笑顔   になるだろう。 El #dinero no te da la #felicidad, pero al menos #puede #hacerte #sonreír. (^ν^)

さらに国内大手と外資の営業両方とも転職で内定したらどっち行く問題は、絶対に国内大手を勧めます。これも大手と中堅と同じことで、外資から国内大手に行くような例はほぼ聞いたことがありません。

詳細は省いた上にこれも私見ですが、その理由はやはり違いすぎる文化です。外資出身者は「自己中心的な方が多く社員間の和を乱す」「面接で言っていたほど実力が無いことがほとんど」という話も聞きますし、そもそも私の実感としてまず国内大手(または経験者)の社員の方が誠実で優秀と感じます。

なお、この業界では、かつて「証券会社、銀行系の投信会社の幹部は親会社からの天下りが多く、(特に国内中堅以下は)投信に関する知識や経験が足りない、だから業界の近代化が遅れていて・・・」などという批判めいた話が聞かれましたが、「バカ言ってんじゃないよ」と思います。

どの業界でもそうですが、大手であっても天下り幹部社員は絶対に必要です。なぜなら特にこの業界は、営業・運用・その他部署ともに、証券会社や銀行・同業他社等から流れてくる雑多な転職者が仕事を回す中心になっています。さらに当局からの規制やコンプライアンス面での要求が年々強まっています。

そのせいか、この手の天下り幹部社員がいないと組織としての体裁・規律が保てないのです。

この業界は、以前書いた通り日本で一番の高給取りな業界ですが、運用・営業・その他スタッフ部門(フロント・ミドル・バックなどという曖昧な言い方もありますが、分かりづらいのでこのブログではそのような表記はしません)ともに組織人として幼稚な人が非常に多い傾向があると思います。人材面で脆弱な国内中堅以下ではなおさらです。

英語さえきちんと習得していれば、中年になってお金が欲しくなったら外資系には行けますので安心してください。人材の流動性がただでさえ高い業界で、輪をかけて中途採用を募集している印象です。

転職のパターンとして、国内大手→中堅以下または外資系、もしくは中堅以下↔外資系というのが実態かと思います。

 

中堅以下に入ったけどもっと上に行きたいという向上心がある方には・・・残念ながら、とにかく今いる会社で卓越した実績を挙げて、頑張って会社そのものを大きくしてください!とアドバイスします。
上に書いた通り外資には行けますし、外資の方も中堅なら転職できます。なぜなら、組織が不安定で個人プレーに頼らざるをえないという共通点があり、結果として人材レベルも似たりよったりという現状があること、これはどの業界でもそうだと思います。

しかし、この業界は基本的にBtoBで、接する機会の大小はあれど販売会社は証券会社と銀行等という超狭い業界なので、中堅以下の会社でも一時的に業界大手を脅かす奇跡的なヒット商品が出る(こともある)という、夢がある業界なのです。


以上、多少過激なことを書いたかも知れませんが(結局はどの業界の営業でも共通なことばかりでしたが)、あくまで筆者チームの私見です。

今日は休日ですので、筆が進みましたが、辛辣に書きすぎました。

明日続きを書きます。

やっぱり高給!!投信会社の代名詞「ファンドマネージャー」のお給料とは?

 

記念に撮っておいた240万円

前回は投信会社の給料が高いことを書いたけど、

hatekinyu.hatenablog.com

投信会社といえば、投資信託を運用する人間、まさに花形であるファンドマネージャーの給料が気になりますよね。

ファンドマネージャーの給料といえば前回紹介した記事を見ると、

doda.jp

職種別のランキングではファンドマネージャーの給料は全職種の2番目です。

年収では748万円、生涯賃金では4億5,839万円

ですよ!

へっぽこファンドマネージャーなんて掃いて捨てるほどたくさんいるんですけどねえ。

ただ投信会社が投信会社たるゆえんの職種なのでこれはしょうがない。

 

ただ、実際には勤務している会社によりますし、年収は確かに最低でもこれぐらいもらっていますが、生涯賃金で4億いく人は日本の投信会社ではそれほどいないかと思います。

なぜなら、日本の投信会社ではファンドマネージャーに限らず20代で1000万円もらえる人はごく少数ですし、50歳前後で部署の長や役員にならないと、管理系の事務仕事や商品開発や営業・マーケティング等にコンバートされて給料が少なくなるからです。

ファンドマネージャーは専門職ですが、定年までずっと「ファンドマネージャーです」という人はほとんど聞いたことがない。

 

人生

 

感覚的ですが、22歳に新卒で投信会社に就職して、営業等OJTを経て、アナリストも経たりして、運良く20代後半にファンドマネージャーなり(競争率かなり高いです)、その後いろんな部署を経験して60歳で定年になるとする。

占めて、3億5千万円から4億円ぐらいがファンドマネージャー”経験者”の平均値だと思います。

 

問題はファンドマネージャー以外の人間も良い給料をもらっていることです。

特に営業です。

 

投信会社の営業は何をしているのか。

次は知られざるファンドマネージャー以外の投資信託会社の職種を紹介します。

 

 

 

高給取り!!投資信託会社のお給料は全業種で1番高い

Money origami 千円札の折り紙


虎の子のお金を投資信託に投資する。

まあ、いいことでしょうけど、損したら目を当てられませんよね。

特に運用はうまくいっているけど、手数料等で損することがあるんです。

投資信託手数料等が高いものもあって、証券マンや銀行マンがやたらと勧めてくるのはそういう手数料等が高いものが多い。

そして投資信託の手数料等は、証券会社や銀行、投資信託を運用する会社に行くというのは前回書いた通りです。

 

hatekinyu.hatenablog.com

 

その彼らの給料は?というのが今回です。

これ、見てください。

doda.jp

 

この中で投資信託を運用する会社は、何しているのかほとんどの人にとってよくわからないですよね。

でも、こんなにもらっているんです。

なんと全業種で1番高い給料なんです。

平均年収が673万円ですよ。

投資信託会社って日本で一番お給料が高い業種だって知ってました?

2位のたばこに比べて32万円も高いんですよ。

その高い給料出元は私ら投資家なんです。

これで運用失敗してすいませんとか言われても、腹が立ちますよね。